ポラリスと星の名前


すうぃるです。
今回は6期総合主人公、ポラリスとその語源について。

海獣ポラリス

 ポラリスが初めて登場するのは2010年頃。初期デザインでは環境保護を理由に淡水湖へ任期付きで着任している、イルカのような生き物でした。当時から宝石のついた額飾り、水色の肌に淡紫の髪。この頃からおっちょこちょいなのは変わらず、偶然湖に落ちてしまった人間を救うために助けようとしたら誤ってとんでもないことに……という物語を作っていました。静謐な森、穏やかな湖、荘厳な水の守護者。なのに口を開けば落ち着きがなく……というギャップは今でも好きな作品のひとつです。

 

水竜族のアホの子、ポラリス

 その後、竜人という概念が現れ、フルードという水竜族竜人が作られ、彼女が創作全体のメインキャラになっていました。彼女は守護水竜の高官として、水竜族の王都で基本ふんぞりかえっているのですが、そんなフルードに与える試練として思いついたのがポラリスです。ポラリスは水の守護者である守護水竜を目指して勉強しているのですが、あまりにも勉強ができなさすぎて有名に。その対処として現水竜王のゼクスは、幼馴染であるフルードを家庭教師に任命する。ここが出発点でした。

 初等教育(いわゆる小学校課程)ですらつまづくレベルのアホであれば、きっとその家庭もアホなのだろうと。なので、ポラリス(北極星)の真逆である、サウス(南)のクルックス(星の瞬き)にしたのです。サウスクルックス家の両親は、どこかで聞いたか、見知らぬ世界にある星の名前の「ポラリス」という語感を気に入り、自分の娘につけた。アリアウトの水竜族たちが見知る世界では北極星はポラリスと呼ばれていないのでアホ具合は周知されなかったものの、読者目線ではポラリス(北)とサウスクルックス(南)というちぐはぐな名前が誕生したわけです。

 他者との関係にストレスを受けていたフルードと対比するため、なんだかんだ温かい家庭で育ち、他者に何を言われても(アホなので)動じてない、でもちゃんとひたむきに取り組むキャラとして作られたポラリス。フルード先輩から時に厳しく、時に無茶過ぎる指導を受け、どれほど突き放されても先輩として慕い続けているポラリス。その姿にフルードも根負けして、段々と情が移っていくようになる。そんな物語になりました。

 それがまさか総合主人公になってしまうと、それはそれで「アッ!!ポラリスなのにサウスクルックスだなんて!作者はアホなんですか!」なんて言われてしまうんじゃないかと。いや、むしろそんなところに噛みつかれるくらい多くの人に創作知ってもらいてぇ~

 

星の名前のキャラクターたち

 さて、作中のポラリスは「星の名前の語感だけで付けられた」のですが、これはそれ以前の創作を反映した要素でございました。

 しばらく1キャラで物語をつくっていたはずが、安易にキャラを大量生産するようになった頃でした。名付けに困った末に見つけたのが、「星の名前のリストから雰囲気で選ぶ」ことでした。アルカイド、ドゥーベ、フェグダ…このあたりは北斗七星ですね。あとはフォーマルハウト、アケルナル…とにかくキャラを作って、星の名前を付けて、それで満足していたんです。この反省というかオマージュが、ポラリス=サウスクルックスの名前の背景になっています。

 さて、そんな適当に作られた子たちの物語が進むことはなく、作ったきりで放置されて収集がつかなくなっていました。創作者あるあるですが、オリキャラ全員のプロフィールをまとめようとしたんですよ。そうすると星の名前のキャラ達をどうするかで詰まってしまう。いっそ捨ててしまおうかと思ったとき、それを創作にすることを決めました。

 星のキャラたちが捨てられる→星屑の世界として、ゆっくりと時間が流れる停滞世界線。そこでは星の名前をもつキャラクター達が日常を過ごす。現在のステラテス世界の元ネタです。ステラ(星)+テス(捨て、を入れ替え)という安直な名前ですが、当時の創作傾向をテーマに据え、懐かしい気持ちでステラテスを動かしています。

 さて、星屑世界に移動したキャラクターを取り除き、どうにか残ったキャラのひとりがポラリスでした。ステラテスのキャラにとっての希望の星であり、遥か空の彼方に燦然と輝き続ける存在がポラリスとなりました。

 それが様々な出来事を越えて、ついに総合主人公になったというのは、中々感慨深いものがございます。また追々、お話できましたらば。